あたしを歌ってよ
『練習終わりに三人で飲んでいたら、妹が急にやって来てさー。四人で飲んだんだよ。健は逆ナンされた女の子とどっか行っちゃうし、オレも悠馬も結構酔ってて。だから、妹が仕方がなく悠馬を送って行ったんだ』
そう言った弘樹くんは、
『オレは店の前でほったらかしにされてたんだぜ?ひどいよな?』
と、笑っていた。
『あたし、浮気されたと思ってた』
『うん。知ってる。悠馬がそう思われてるって話してくれた』
と言った健くんが、
『鞠奈ちゃんってさ、悠馬のこと、信じてなかったっぽいもんね?』
と、あたしを指差した。
『え?』
あたしは、あの時。
反論出来なかった。
だって。
信じてる、って言い聞かせてたけれど。
揺らいでた。
悠馬がどこかへ行ってしまうんじゃないかって。
いつも不安だった。
不安で。
信じられなかった。
「……だから?」
と、あたしはホームページに載っている悠馬に問いかける。
「だから、出て行ったんでしょ?」