あたしを歌ってよ

六年間。

連絡をしなかったのは。

あたしも同じなんだ。






信じきれなかったから。






……ふと、あたしは『ベイビー・サンデー』のデビュー曲を聴いていないことに気づいた。

ホームページのトップページに、動画が貼り付けられていた。






「『運命の片想い』」





曲名を読み上げると、悠馬くんにピッタリだと思った。

切なくて悲しい、でも力強いあの声に。




再生してみる。

バラードかなと思ったけれど。

わりとアップテンポな曲調だった。



曲の主人公は、夢を追いかける男の子。

運命を初めて感じる恋に落ちる。

『きみ』へのまっすぐな気持ちが、聴いているこちらが照れるほど伝わってくる。






【♪信じてほしい これが未来を願う気持ちだってことを
信じてほしい きみへの精一杯のラブソング♪】



悠馬くんが歌っている姿。

スポットライトを浴びてる。

初めて見た、あの時と同じ。




< 58 / 72 >

この作品をシェア

pagetop