あたしを歌ってよ
第二話 着信
「……で?」
週末の午後。
オシャレなカフェで。
テーブルを挟んだ向こうから、南があたしに問いかける。
「どうするの?連絡するの?悠馬くんに」
「……あ、あたし……」
と、声がどんどん小さくなるのを感じながら、あたしはこう答えた。
「……連絡しちゃったんだよね、もうすでに」
「え」
「うん。そうなの、連絡しちゃったの、勢いで」
「えっ!?」
驚いた南は、身を乗り出した。
それから少し声をひそめて、
「返事は?連絡って電話?」
と、目を輝かせた。
「そんなキラキラな目で聞かないでよぅ」
「ってことは、電話とかじゃないんだ?メッセージ送ったか何かで、返事がないんだ?」
「……当たり」
「やっぱりね」と、南はため息を吐く。
左手で少し乱れた前髪を直す。
その薬指にはキラリと光る指輪がある。
「……いいな、南。結婚って楽しい?」