あたしを歌ってよ
「うーん、まぁ、楽しいかな。仕事の話とかで相談にのってもらえるのも勉強になるし。気を遣わない人だから、うん。楽しいよ」
「いいなぁ!」
「あー、でもダメ出しされるとイラッとするけどね」
南はそう言って笑った。
すごく嬉しそうに。
南は。
大学卒業後、あたしと同じく教師になった。
そして二年前から付き合っていた人と、去年結婚した。
その人も教師で、とてもよく笑う、楽しい人だと、南は言う。
「私の話はいいよ、今は鞠奈の話。悠馬くんとのこと!」
「うん」
あたしはスマートフォンを操作して、悠馬くんに送ったメッセージを南に見せた。
《お願いをきいてくれてありがとう。
覚えていてくれて嬉しいです》
メッセージを読んだ南は、
「は?」
と、怒ったような声を出した。
「何これ、これだけ?」
「え、うん」
「『うん』じゃないし。何これ、喜んでいるようにも思えないんですけど」