あたしを歌ってよ
「え、喜んでるけど」
「鞠奈、仮にも国語の先生だよね?」
「うん。そうだけど」
「感想文かっ!いや、感想文にもなってないしっ!むしろ感想文に失礼だわっ!」
「え、そんなにダメ!?」
あたしはスマートフォンの画面を見て、自分で読んでみる。
(……まぁ、ダメか)
「逆に聞きたい。あなた、これが良いとでも思ってるんですか」
「怖いよ、南」
「だってよ!?あっちは音楽で!しかもデビュー曲でよ!?あんなに想いを伝えてくれたのに対してよ!?あなた、この二文ですよ!?」
「……うん、何か、ごめん」
すると南はニコッと笑って、
「わかったなら良し」
と言ってから、
「ま、連絡きたらいいね」
と、席を立った。
「え、帰る?」
「うん。もう帰ろうよ。鞠奈は悠馬くんからの連絡がくるかもじゃん?」
と言った南は鞄を手に持ち、
「うまくいくことを祈る!」
と、笑った。