あたしを歌ってよ
「……なんで、『運命の片想い』なの?片想いって……?」
あたしはあの曲を聴いた時に、真っ先に思った感想を伝えた。
だって。
あたしは。
悠馬くんと両想いだったよね?
そうだよね?
「……鞠奈と過ごしたあの時間さ」
と、悠馬くんは話し出した。
「オレ、すっごい幸せだったよ。可愛い恋人ができて、好きだって言ってもらえて」
「うん」
「でも、どんなに恋人の時間を過ごしてもさ、どんなに好きって言われても」
悠馬くんはそこで言葉を切って、顔をあげた。
あたしをまっすぐに見つめる。
「オレだけが恋しているみたいな気がしてた。片想いをずっとしているみたいな、淋しい気持ちだった」
え?
あたしは「違う」と、呟いた。
悠馬くんが「違うの?」と、問いかけるように言って、
「だって、鞠奈は。オレのことをずっと見てなかったから。信じてくれなかったよね?」
と、笑顔を作った。
無理矢理に笑っていることがわかるから、胸の奥が締めつけられた。
「……ごめん、こんなこと言いに来たんじゃない」
と、悠馬くん。