人を見た目で判断するな〜ダサダサ御曹司の真の顔〜
 そして、いよいよ大学を卒業し、最上飲料への入社が目前に迫っていた。

 大学在学中、すでに最上飲料の経営側の知識を学んでいた。大学ではしっかり勉強し、一人暮らしの部屋に帰るとリモートで最上飲料の仕事を少しずつこなしていた。

 バイトをする代わりに、最上飲料の仕事でバイト代をもらう。

 バイトでの社会経験も大事だが、まだまだ学ぶべきことは山程あるのだ。

 入社式を迎えるにあたり、父親から確認された。

「聖七、お前はいずれ最上飲料を継ぐつもりで入社するのか?」

 これが、お前が最上飲料以外の道へ進むなら最終チャンスだぞと言わんばかりの聞き方だった。

「ああ。俺は親父の跡を継ぐ」

「わかった。甘くはないぞ」

「もちろんだ。ただ」

「何だ?」

「入社した時点で、黙っていても最上を名乗れば関係者だとバレる」
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