人を見た目で判断するな〜ダサダサ御曹司の真の顔〜
 姉弟は、幼い頃から助け合って生きてきたのだ。ずっと貧しい生活だったが不満に思った事はない。

 夕も、信頼している弟の言葉は素直に胸に響いた。

「少しずつですが、専務いえ聖七さん、よろしくお願いします」

「……。今なんて言った?」

 今度は、聖七が驚いている。人を見かけで判断しない夕だからこそ、聖の姿は受け入れてもらえない、下手したら拒否されると思っていた。

 弟の助言もあり、容姿とは関係なく受け入れてもらえた。御曹司でも容姿でもなく、本来の聖七として受け入れられた喜びが全身を駆け巡る。

「聖七さん、何もかも初心者ですがよろしくお願いします」

 誰もが羨む容姿を持ち、仕事も完璧、将来会社を継ぐ何もかも完璧な聖七が、初めて欲した相手に一歩近づけた瞬間だった。

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