人を見た目で判断するな〜ダサダサ御曹司の真の顔〜
 社長と聖七、各部署の役員達が集まる場は圧巻だ。

「みんなも承知だと思うが、今回のパーティーでの発表は主に三点だ。『モガールの聖』についてと、聖七の副社長就任、聖七の婚約だ」

 ここで拍手が沸き起こる。

 実は、数日前にとうとう聖七のプロポーズに夕は頷いた。そこからが、早かった。聖七はすでに両親に話をして、指輪まで用意していた。

 社長とは面識のあった夕だが、プロポーズに頷いた次の日には、婚約者として聖七のご両親に挨拶をしていた。

 その次の日には、夕の母の病院に行き結婚の挨拶をする始末。抜かりない御曹司には驚きばかりだ。

「もう聖七くんのダサイ姿が見れなくなると思うと寂しいな」

「確かに。入社したと思ったらその格好で驚いたな」

「いつの間にかダサ専なんて呼ばれてるし」

 役員達は思い出し笑い出す。それでも、黙って見守ってくれていたことに改めて感謝だ。
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