密かに出産するはずが、迎えにきた御曹司に情熱愛で囲い落とされました
キスを交わすと、春香は消極的ながらも俺の口内の動きに応じる。
健気さがいとおしくて、もっとめちゃくちゃに奪いたくなると同時に、大切にゆっくりと堪能したいという相反する思いが心の中で揺れ動く。

『私、三ヶ月間透真さんと一緒に過ごして、甘えるのが好きになってしまったんです』

吹っ飛びそうになる理性をなんとか保ち、俺は春香を部屋に誘った。
ベッドの上で、あまり経験がないと話す春香のシャツのボタンをはずしていく。キャミソール一枚になると、胸の膨らみを手のひらで包み込んだ。

初めて抱いた日にも感じたが、春香は着衣を脱ぐと減り張りのある官能的な体つきをしていた。

あの純朴そうな少女から、大人の女性に成熟した姿に、身も心も溺れそうになる。

困惑しぎこちない声でシャワーを浴びたがる
春香に、離したくないなどとガキのようなわがままを言ってベッドに押し倒した。

恥ずかしがって顔を隠そうとする春香の手を無理矢理剥がし、刹那的に動こうとする自分を落ち着かせるためにも甘い言葉を耳もとでささやいた。

『好きに、動いてください』

そして繋がった矢先、震える声で伝えられ、俺は目を見張る。

『透真さんにも、気持ちよくなってほしいです……』

虚をつかれた。
彼女はどこまで俺を悦ばせれば気が済むのだろう。

春香への感情は、初めこそ庇護欲だったかもしれない。
けれども今は、それだけではないことは明白。

店先で見せたはつらつとした元気な笑顔も、眉根を寄せ、快楽に顔をゆがめる色香に満ちた表情も、彼女の一挙手一投足が目に焼きついて離れない。

これまで女性とは浅い付き合いしかしてこなかったから、執心するって柄じゃない。
それなのに、これほどまでに手に入れたいと熱望する存在は初めてだった。

絶対に取り戻してみせる……。

心に固く誓った俺は離婚届をギュッと強く握りしめ、破きたくなる衝動をなんとか抑えた。




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