密かに出産するはずが、迎えにきた御曹司に情熱愛で囲い落とされました
実家に向かい、青空商店街をとぼとぼと歩いていると、聞き慣れた声の人物に背後から呼び止められた。
「春香ちゃん!」
振り向くと、今通り過ぎた駒津屋の店先におじちゃんが出てきた。
「おじちゃん、こんばんは」
「仕事帰りかい? お疲れ様」
駒津屋のおじちゃんはにっこりと頬をほころばせて続ける。
「あの、ものすごくイケメンな旦那さんは元気かい?」
突然の質問にドキッとして、私は視線を泳がせた。
「ええっと……、今別々に暮らしてて」
「そうなのか。ま、結婚していてもいろんな生活スタイルがあるからね。別居婚も今どき珍しくないしな」
「そうですね」
特に深掘りするでもなく、すんなり受け入れてもらえて、私はホッと胸をなで下ろす。
「これ、よかったら持って行きな! りんごのワイン、シードルだよ。酒があんまり得意じゃない春香ちゃんでもきっと飲みやすいよ」
駒津屋のおじちゃんはりんごのイラストが描かれた一本の瓶を私に差し出した。
「え、いいんですか?」
「うちの嫁の地元で作ってるんだ。よかったら飲んで感想を聞かせてくれ」
「はいっ、ありがとうございます!」
お言葉に甘えていただくと、私は笑顔で駒津屋のおじちゃんに手を振って別れた。
帰宅して、体が重くて夕飯を作る気になれず、休みの日に大量に調理して冷凍していたカレーを解凍した。それを朝に炊いた雑穀米にかけ、ひとりでテレビを見ながら食べる。
透真さんと暮らしていた頃は、食べたいとリクエストしてくれた料理を張り切って作っていたのだけれど、すっかりサボっているダメな私。
自分ひとりだと思うと張り合いがなく、つい楽をしてしまう。
次の休みの日に常備菜を作ろうかな。
人参の和風サラダにピーマンの煮浸し、それから茄子の味噌炒めに……と考えていき、ハッとした。
透真さんが好きな和食のメニューばかり浮かぶ頭を、私はブンブンと左右に振る。
「春香ちゃん!」
振り向くと、今通り過ぎた駒津屋の店先におじちゃんが出てきた。
「おじちゃん、こんばんは」
「仕事帰りかい? お疲れ様」
駒津屋のおじちゃんはにっこりと頬をほころばせて続ける。
「あの、ものすごくイケメンな旦那さんは元気かい?」
突然の質問にドキッとして、私は視線を泳がせた。
「ええっと……、今別々に暮らしてて」
「そうなのか。ま、結婚していてもいろんな生活スタイルがあるからね。別居婚も今どき珍しくないしな」
「そうですね」
特に深掘りするでもなく、すんなり受け入れてもらえて、私はホッと胸をなで下ろす。
「これ、よかったら持って行きな! りんごのワイン、シードルだよ。酒があんまり得意じゃない春香ちゃんでもきっと飲みやすいよ」
駒津屋のおじちゃんはりんごのイラストが描かれた一本の瓶を私に差し出した。
「え、いいんですか?」
「うちの嫁の地元で作ってるんだ。よかったら飲んで感想を聞かせてくれ」
「はいっ、ありがとうございます!」
お言葉に甘えていただくと、私は笑顔で駒津屋のおじちゃんに手を振って別れた。
帰宅して、体が重くて夕飯を作る気になれず、休みの日に大量に調理して冷凍していたカレーを解凍した。それを朝に炊いた雑穀米にかけ、ひとりでテレビを見ながら食べる。
透真さんと暮らしていた頃は、食べたいとリクエストしてくれた料理を張り切って作っていたのだけれど、すっかりサボっているダメな私。
自分ひとりだと思うと張り合いがなく、つい楽をしてしまう。
次の休みの日に常備菜を作ろうかな。
人参の和風サラダにピーマンの煮浸し、それから茄子の味噌炒めに……と考えていき、ハッとした。
透真さんが好きな和食のメニューばかり浮かぶ頭を、私はブンブンと左右に振る。