密かに出産するはずが、迎えにきた御曹司に情熱愛で囲い落とされました
「働いているきみと偶然カフェで会ったことを、百瀬店長はセレクトショップで葉山さんに話した。それを葉山さんが奥様に伝えたんだな」
俺が小声で総括すると、肩を小さく縮こませた春香は申し訳程度にうなずいた。
百瀬は妻に頭が上がらない事情があり、不倫疑惑の潔白も証明できていないのに、春香とカフェで会ったなど伝えるわけがない。
それならば、なぜ百瀬の妻は春香がカフェで働いているとわかったのか疑問だったが、たった今解決した。
百瀬が今も一緒に働く葉山に、雑談程度の軽い気持ちで話したのだ。春香に再会した、と。
百瀬自身、まさか親しい葉山が部下との不倫をでっちあげるとは思わなかっただろう。
真実が明かされ、春香は唇をキュッと噛んでうつむいた。
先輩に裏切られ、深く傷ついた春香同様、友人に嘘の情報を吹き込まれて信じ切っていた百瀬の妻もある意味被害者だ。
別れ際、憔悴した様子で春香に謝罪していた。
ホテルから出た俺たちは、駐車場に停めてある車に乗り込む。助手席の春香は、思い詰めた表情だった。
「春香、大丈夫か?」
運転中、心配で声をかけると、春香は落胆した顔で俺を見た。
「もしかしたら玲子さん、私と働くのが嫌になったのかもしれないです。私が余計なことを言ったから……」
今にも泣き出しそうに、声が揺れている。
「余計なこと?」
「玲子さんが社割で購入したものが次々に、フリマアプリで売りに出されてると気づいたんです。それとなく話題にしたら、自分が出したものじゃないって否定していましたけど……」
「彼女が売りに出したという確たる証拠があるんだな」
俺の質問に、春香はこくりとうなずいた。
「フェアのときにお揃いで着用したジャケットは社員用に特別なステッチがあしらわれていて、一般には出回っていないんです。そのジャケットを出品したアカウントの人物が、うちのセレクトショップの店舗で扱う商品を大量に出品していました。どれも高額ブランドのもので、その人物は数回しか着用していない新品同様のものを店頭価格に近い金額で売っていたのです」
俺が小声で総括すると、肩を小さく縮こませた春香は申し訳程度にうなずいた。
百瀬は妻に頭が上がらない事情があり、不倫疑惑の潔白も証明できていないのに、春香とカフェで会ったなど伝えるわけがない。
それならば、なぜ百瀬の妻は春香がカフェで働いているとわかったのか疑問だったが、たった今解決した。
百瀬が今も一緒に働く葉山に、雑談程度の軽い気持ちで話したのだ。春香に再会した、と。
百瀬自身、まさか親しい葉山が部下との不倫をでっちあげるとは思わなかっただろう。
真実が明かされ、春香は唇をキュッと噛んでうつむいた。
先輩に裏切られ、深く傷ついた春香同様、友人に嘘の情報を吹き込まれて信じ切っていた百瀬の妻もある意味被害者だ。
別れ際、憔悴した様子で春香に謝罪していた。
ホテルから出た俺たちは、駐車場に停めてある車に乗り込む。助手席の春香は、思い詰めた表情だった。
「春香、大丈夫か?」
運転中、心配で声をかけると、春香は落胆した顔で俺を見た。
「もしかしたら玲子さん、私と働くのが嫌になったのかもしれないです。私が余計なことを言ったから……」
今にも泣き出しそうに、声が揺れている。
「余計なこと?」
「玲子さんが社割で購入したものが次々に、フリマアプリで売りに出されてると気づいたんです。それとなく話題にしたら、自分が出したものじゃないって否定していましたけど……」
「彼女が売りに出したという確たる証拠があるんだな」
俺の質問に、春香はこくりとうなずいた。
「フェアのときにお揃いで着用したジャケットは社員用に特別なステッチがあしらわれていて、一般には出回っていないんです。そのジャケットを出品したアカウントの人物が、うちのセレクトショップの店舗で扱う商品を大量に出品していました。どれも高額ブランドのもので、その人物は数回しか着用していない新品同様のものを店頭価格に近い金額で売っていたのです」