密かに出産するはずが、迎えにきた御曹司に情熱愛で囲い落とされました
早く答えが聞きたくてうずうずしている気持ちが伝わったのか、透真さんは観念したように口を開いた。

「自覚したのは再会してからだが、大学生の頃から気になっていたのはたしかだ」
「え! 高校生の私に……?」
「そのときは笑顔がかわいいなとか、いないと気になるとか、その程度だったんだが」

そこで言葉を切ると、ふっと思い出したように頬を緩め、私の体を横からキュッと抱き寄せた。

「再会して、きみの変わらない純粋さに触れて、なんとしても手に入れたいと思った。あの頃の感情は紛れもなく恋だったと気づいたんだ」

低くてよく通る透真さんの声は、私の心に晴れやかに響いた。

「……っ」

どうしよう。
思わぬご褒美をもらったような幸せな感情が体いっぱいに広がって、顔も胸も耳も全部が熱くなる。

こんなに心に響く言葉を知らない私は、自分で聞いておきながら無性に照れた。心臓がドクドクと飛び出しそうなくらい暴れてうるさい。

スリムに見えてしっかり鍛えられている透真さんの腕にギュッと抱きつく。

「あの、透真さんのお話だけ聞くのも申し訳ないので、私が好きなところもお話しま……んっ!」

話している途中でクイッと顎を持たれ、強引に口を塞がれた。
唇をやわらかく食み、絡まる舌の心地よさにうっとりと陶酔してしまう。

「んっ……ふ」

体で深く愛し合えない分、透真さんはたくさんキスをしてくれる。

愛を感じてうれしいのだけれど、溺れそうなほどあまりに深いとお腹の奥がきゅんと疼く。

焦れったくて、この振動が赤ちゃんに伝わっていたらと思うと少し怖くて、首をすくめて体を引く私の態度で透真さんは察してくれる。
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