キケンな四兄弟

「兄貴まで来てどうすんだよ…」
絶望的に隼人が言う。
「あれ、何で隼人が居る…」
陸人さんの視線は言葉と一緒に詩織さんで止まる。
「…舞香ちゃん、俺違うやつ貰いに行って来るね」
愛想笑いであたしに背を向けて行こうとする陸人さん。

「待って!!」
歩き出す陸人さんを詩織さんが引き止める。
陸人さんは振り向かずに立ち止まる。
「あのね陸人…私、陸人の事まだ好きなのっ!」
詩織さん…。
陸人さんは少し俯いて言う。
「…俺は…もう詩織が俺のせいで嫌な事されてんの見るのやだし…」
「大丈夫だからっ! …私は大丈夫だからっ…」
目に涙を浮かべて言う詩織さん。
「………」
「…兄貴」
黙っている陸人さんに、隼人が話しかける。

「俺の事気にしてんならやめろ! こいつの事好きなんだろ!? 本当に好きなんだったら“俺が守る”ぐらい言ってやれよバカ兄貴っ!!」


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