キケンな四兄弟

隼人の言葉に、振り向いた陸人さんは、驚いた顔をする。
「そんな事も言えねーぐらいの気持ちなら俺が奪い取ってやっからな!」
「…隼人…」
「じゃあな! …これでもいーだろ!」
隼人はそう言って、自分の赤いハチマキをほどいて陸人さんに投げつける。
「…隼人くん…」
「行くぞ舞香! 選手交代だ」
「えっ!?」
詩織さんの声も無視して、隼人はあたしの腕を掴んで早歩きで歩いて行く。

「ちょっ…と隼人!」
少し歩いたとき、戸惑っていたあたしが声を上げる。
「は!? …あ、悪りぃ」
隼人は手をパッと離し、あたしから視線を逸らす。



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