キケンな四兄弟

隼人の方を見る。
とても応援する目じゃなく、どことなく悲しそうな目でそっちを見ている。
…あたしもそんな瞳をして見てたのかな。

「…何だよ」
あたしの視線に気付いた隼人が口を開く。
「いや、別にあんたなんか見てないもん! 自意識過剰なんじゃないの?」
「はァ? 思いっきり俺の方向見てただろがバーカ!」
「見てないもんっ!」
「…あっそ…」
隼人は呆れながらそう言った。
なんか…隼人…言い返すことが少なくなった気がする…。
別に寂しいとかそういうワケじゃないけどねっ!?

「つーかさ」
熱い声援の中、隼人が話し始める。
「ん??」
「何か、変だよな。お互い失恋した相手こうやって二人で見てんのが」
「…放っといてよ」
あたしはムッとして顔を逸らす。
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