キケンな四兄弟
「…やれよ。お前なら大丈夫だろ」
少しのため息のあと、隼人は小さく言った。
「へ?」
あたしは隼人が言いそうにもない言葉を耳にして、驚いた顔をする。
「…な、何だよ…??」
その顔に隼人は照れたような、不思議そうななんとも言えない顔で問う。
「だ、だって…」
だって、びっくりしたんだもん…。
隼人でも、そんな事言うなんて、意外。
いっつもケンカばっかりふっかけて来る隼人が、そんな事言うなんて。
「隼人の口からそんなセリフが出てくるなんて…びっくりした…!!」
あたしは少し大げさに目を丸くして、隼人に言う。
あたしがそう言うと、隼人は戸惑ったように言う。
「だっ…俺だってなぁ!!……」
語尾が濁るので、よく聞き取れなかった。
「え、今なんて…」
「頑張れよ!!」
あたしの質問は、隼人の声にかき消された。
「おぉ…??」
あたしは“隼人らしくないセリフ”の連発に混乱する。
「馬鹿っ!! 何変な顔してんだよ!! おら、行くぞ!!」
そんなあたしに隼人は、ちっとも構わないで早歩きで集合場所に向かった。
なんか…隼人に『大丈夫』って言われたら…本当に大丈夫な気がするのは…何でなのかな??
そんな事を考えながらあたしは、隼人の後を早歩きで付いて行く。