キケンな四兄弟
もういいもん、あんな奴ほっといてやるっ!
「陸人さん、これここ置いといていいんですかっ?」
あたしは心の奥で緊張しながら言った。
「うん、ありがとう! 助かるよ」
陸人さんが輝いて見える…気がする。
本当王子だなぁ…隼人と違って!
その日の夜、あたしはまだ店のキッチンにいた。
「え~と…これがチョコミルフィーユでぇ…」
早くお店に慣れるために、メニューを覚えていた。
この店は、持ち帰りだけじゃなくて、店内で食べる事もできるので、注文をとらなければならない。
「えーっと…なんだっけ? あ、ショコラ…何だっけ!?」
さっきから独り言をブツブツと言っている。
「ショコラ………」
「ショコラモンブランじゃない?」
あたしがつまっていると、ふいに後ろから声が聞こえた。
「り…陸人さんっ!?」
陸人さんがケーキが入っているショウウインドウにひじを付いてニッコリ笑っていた。
あたしは突然の王子の登場に驚いてイスから落ちそうになった。