キケンな四兄弟
「こいつ、事情があって俺ん家に居候してっから、その家賃みたいなカンジで…まぁ、皆さんが心配してるようなコトは弟の俺から見てても、カケラさえ無いっすから。安心してくださいよ」
驚いて隣を見ると、隼人が女の子だちに向かってそう言っていた。
いつになく素直そうな顔で、ぎこちないけど敬語も使っている。
「そ、そうです…何もありません」
「ホラ! 隼人が言うんだから間違いなし!」
あたしと優人さんも慌ててそう言った。
『なんだぁ、そうなんだぁ』
『心配してソンしたぁ~』
優人さんの周りにいた女の子たちが、口ぐちに安堵の言葉を吐いていく。
あたしもほっとして胸をなでおろす。
優人さんはスキンシップが過剰なだけで…別に何もないし。
けれど、あたしは気が付かなかった。
大勢いた女の子の中で一人、納得した表情を浮かべていない人がいることに。