キケンな四兄弟


「俺より兄貴が行った方がアイツは嬉しいと思ったからだよ!」


兄貴はきょとんとして俺を見ている。

すぐに元の表情に戻ると、俺の胸ぐらを一層強く握りこんで言った。


「へえ…そんな理由で?」

「実際そうだろ? 兄貴だってなんだかんだ舞香に本気なんだろ」

「…だったら何?」

「なおさら良かったじゃねーか。それなら何でとやかく言われなきゃなんねーんだよ。じゃあ、俺、部屋戻る」


無理やり兄貴の手を払いのけ、俺は足早に自分の部屋に入った。

勢いでベッドに仰向けに飛び込む。

さっきの兄貴の言葉が頭に何度も響いた。


『だったら何?』


正直カマでもかけるつもりで聞いただけだった。

けど…当たってた。

兄貴が、アイツを、好き。





< 234 / 243 >

この作品をシェア

pagetop