キケンな四兄弟
しかし、人を殴ったような鈍い音はしなかった。
代わりに、パシッと、乾いた音がした。
あたしは恐る恐る目を開ける。
「陸、人さん…?」
男の拳は陸人さんの顔の前で、受け止められていた。
ええぇええ!?
「ほォ…てめぇ、何かやってんのか」
男が静かに聞く。
「柔道と空手をちょっとね…せいぜい、黒帯くらいかな」
陸人さんの笑顔。
…でもちょっと違う、なんか黒いオーラが出ているようだった。
違う人みたい…。
「ちょっと待て…!!」
別の男が口を開く。
「んだよ」
陸人さんを殴ろうとした男が、不機嫌そうにそっちを向く。