キケンな四兄弟
「え…好きな人、ですか?」
陸人さんの顔が脳裏をよぎる。
何で陸人さん…??
少しそう思ったけど、あたしはこう返事した。
「今は…分からないんです…」
自分でも言ってる意味が分からなかった。
詩織さんは少し俯いた。
「そうなんだ。私は…いるの」
そして顔を上げてそう言った。
「へぇ、そうなんですかっ」
「ええ…でも、私の片思いだけどね…」
詩織さんの悲しげな笑顔を見て、胸が痛くなった。
「…でっでも! 詩織さんはかわいいしいい人だし、絶対振り向いてくれますよ! それより、詩織さんを好きにならない人が不思議ですっ!」
だって、あんなにいい人なんだもん。
絶対恋、実るよ。
「そ、そうかな?」
「そうですっ! 自信持ってください!」
「あはは…なんか、舞香ちゃんのおかげでまた頑張れそう!」
「頑張って下さいね! 応援してますっ」
あたしは出来る限りの笑顔で、言った。