キケンな四兄弟
「おい…舞香」
次の授業の準備をしていると、突然後ろから声をかけられる。
「ゲッ!? 隼人…」
「ゲッて何だよ…俺そんな怖い顔してっか?」
「うん☆」
「お前なぁ!! …いや、それより、次の授業なんだったか?」
隼人は、多大な努力をして口ゲンカを避けたらしい。
語尾が乱暴だ、怒ってる。
『だってケンカする程仲いいって言うしさ』
『何より一つ屋根の下で暮らしてたら、何かあるんじゃないの?』
ふっと、さっきアイコたちに言われた言葉を思い出す。
「な…ないよっ!」
あたしはいきなり叫んだ。
隼人は驚いてこっちをまじまじ見てくる。
「お前…何叫んでんだ!? とうとう頭おかしくなったか…」
「ああもう! こっち見ないでよ! 次体育だから体育! 体育祭のチームごとの練習! じゃ、あたしはこれでドロンだからっ」
あたしはそう言い残してその場所から一方的に立ち去った。
「さんきゅ………てか、変な奴。いっつもだけど」
隼人はその後、独り言をつぶやいた。