キケンな四兄弟

「はぁ…疲れたぁ…」
「大丈夫? 本番は、これに障害物もあるんだよ」
「…すいません、あたし陸人さんの足引っ張っちゃって…」
「ううん、全然! 舞香ちゃんは頑張ってるよ」
「あ、ありがとうございますっ」
あたしは笑って言った。

「お疲れさまっ」
その時、後ろから声がする。
振り向くと、紙コップを持った詩織さんがいた。
「あ、詩織さんっ! お疲れ様です」
「お疲れ、舞香ちゃん。…陸人も、お疲れ」
詩織さんは、あたしに「おつかれ」と言ってから、陸人さんに視線を変えて言った。
「あぁ…お疲れ」
陸人さんは笑顔で言ったけど、その笑顔はいつもと少しだけ違う気がした。
気のせいかなぁ…?

「ハイ、これ…差し入れだよっ」
そう言って詩織さんは、持っていた紙コップを差し出す。

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