キケンな四兄弟
陸人さんは俯いていた。
詩織さんは陸人さんをチラリと見た。
「ありがと、じゃコレ返すね」
そして陸人さんにコップを返した。
「…陸人さん?」
さっきから明らかに様子がおかしいよ。
「ねぇ、陸人…」
「黙って」
詩織さんの言葉を、陸人さんが遮る。
「…え?」
「俺等さ、練習してるんだよ。邪魔…しないでくれるかな」
どことなく辛そうな顔で、少し俯きながら言う陸人さん。
詩織さんは一瞬顔を歪める。
今にも泣き出しそうな顔になったのは…気のせい?
「ご…ごめんねっ? そうだよね…邪魔だよねっ! じゃ、私帰るねっ」
詩織さんは、力なくそう言って、あたし達に背を向けて走って行った。
「し…詩織さんっ」
あたしは詩織さんの背中を追いかける。
グッ
その時、陸人さんに腕を掴まれた。