キケンな四兄弟

「…兄貴とあいつが」
沈黙を、隼人が破る。
「兄貴とあいつが別れたのは…俺のせいなんだよ」
え…、どういう意味??
「それって…どういう事…?」
あたしが聞くと、隼人は視線を落として言った。

「俺は…あいつの事好きだったんだ」

“あいつ”って…詩織さんの事だよね?
「詩織が兄貴の事好きなのは見え見えだったから…俺、ずっと言わないつもりだったんだよ…」
「う、うん」
今度は隼人の話にあたしが頷いていた。
「けどさ、兄貴って…ああ見えてモテるだろ?」
「あは…まぁね、それはあたしも良く分かってる」
「結局両想いで…あの二人が付き合ってから…詩織に女子のやっかみとかいじめがひどかったんだ」
「うそ…あんなにいい人なのに」
あたしがそう言うと、隼人はさっきよりも俯く。
「で、兄貴の事で苦しんでるあいつ見てて…俺、自分の気持ち抑えきれなくなって」


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