キケンな四兄弟
「…告ったんだ?」
「………振られたけどな」
隼人はハッと馬鹿らしく笑った。
それにつられてあたしも少し笑う。
「で、その現場を兄貴に見られてた…兄貴は、アホみたいに優しいだろ? …だから、次の日からパッタリ詩織と話さなくなっちまった」
「それって…隼人のせいなの?」
あたしの言葉に、隼人はピクッと髪を揺らしてこっちを見る。
「それって…隼人のせいって決まったわけじゃないじゃん!」
「は? おま…意味分かんね」
「確かにそうかもしんないよ? …でも、他にも理由があるんだよきっと! 陸人さんが本当に優しいなら、それだけの理由で詩織さんを悲しませたりしないっ」
あたしは真っ直ぐに隼人に向かって言い放った。
隼人は驚いたような顔であたしを見る。
「…とにかく、あたしはちゃんと陸人さんに聞いてみるっ!」
「…しょーがねーな、俺も付き合ってやんよ」
めんどくさそうに言う隼人。
「はははっ」
「じゃ、とりあえず家帰んぞ…乗れば?」
隼人が自転車の荷台を指差す。
「おじゃましまーす」
「おわっ重っ! …冗談だよ!」
こうしてあたし達は自分の気持ちにケリをつけられた。
隼人のおかげだよ…一応、ありがとうって心の中で言っとく。