キケンな四兄弟
しばらく校内を探したとき、見慣れた風になびく栗色の髪が目に入る。
「詩織さんっ」
あたしは詩織さんに向かって名前を呼ぶ。
詩織さんはあたしに気付くと、少しだけピクッと髪を揺らす。
「…ま、舞香ちゃん? どうしたの?」
作り笑いして言う詩織さん。
「あの…コレ、落としましたよね?」
あたしは手に持っていた淡いピンク色のハンカチを詩織さんに差し出す。
「あ、わざわざ届けてくれてたんだ、ありがとう! どこにあったの?」
「…体育館の傍です。あたしの練習場所に落ちてました」
「…そ、そうなの? 何でそんなところにあったんだろ…おかしーな」
詩織さんは困ったように笑ってあたしからハンカチを受け取る。
「あの…詩織さん。話…聞いてたんですよね?」
あたしは恐る恐る聞く。
「…ごめんね…、そういうつもりじゃなかったの」
俯いて言う詩織さん。