冷厳な不動産王の契約激愛婚【極上四天王シリーズ】
我が社が手掛ける案件は大きなものが多く、万が一失敗すればそれを挽回するのに何年もかかる。

それだけで済めばいいのだが、損害の規模によっては会社が傾く事態も想定される。

不動産投資企画部はそのリスクを避けるための最後の砦なのだ。


けれども、各部署からしてみたら、目の上のたんこぶ扱い。

時間をかけて練った企画も、ひとたび不動産投資企画部がNGと判断を下せば、納得いく説明ができない限り白紙撤回となるのだから。


「浜野さん、ありましたよ」


まったく関係ないファイルに挟まっていた書類を発見して、彼に渡した。


「あーそうだ。電話がかかってきて、ここに挟んだんだ」
「適当に挟むのはやめてください」
「すまん、すま……」


浜野さんが言葉を途中で止めて、黒縁眼鏡の奥の目をキョロッと動かしたので、不思議に思う。


「どうかされ――」
「デスクの片づけはいつやるんでしょう?」


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