序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
想い人……澄人のことだ。
澄人が穂波の想い人か聞いてきた時。椿が少し悲しそうな表情をしていたわけがわかった。あの時に椿は、穂波への想いを断ち切るか決めようとしていたのだ。
「時隆さんから話をもらってた藤堂都姫との婚約に応じることにした。縁談のために藤堂家に訪れ、あの女と会い握手を交わし……未来を読み取った」
それからは、穂波を救うために警官の路夜に掛け合ったり、未来の思念を頼りに犯人探しをするなど穂波を救う為に奔走した。千代の治療の為に金を出し、良い病院を確保したのも椿だ。
「後悔した。もし俺が半端な想いで身を引かずに穂波さんの側にいれば。穂波さんも、侍女の千代も傷つくこともなかったかもしれない」
悔しそうに俯く椿の表情を見上げながら、穂波は首を横に振った。椿のせいではないのに、こんなにも辛そうな表情をさせてしまっている。
「だからもう、あんたのことで引くことはない。あんたがまだあの配達屋のことを忘れられないなら、正面から奪いに行く」
澄人への想いが全くなくなったわけではないが、これまでと同じ想いを抱いたり、関係を完全に元に戻すことはもう二度とできないと予感していた。
皮肉なことに元に戻らないこの状況になったからこそ、過去の澄人との記憶はより燦々と輝き、胸につっかえる。その存在を思い出すだけで、大きな穴が空いたような喪失感で気分が悪くなってくる。
澄人が穂波の想い人か聞いてきた時。椿が少し悲しそうな表情をしていたわけがわかった。あの時に椿は、穂波への想いを断ち切るか決めようとしていたのだ。
「時隆さんから話をもらってた藤堂都姫との婚約に応じることにした。縁談のために藤堂家に訪れ、あの女と会い握手を交わし……未来を読み取った」
それからは、穂波を救うために警官の路夜に掛け合ったり、未来の思念を頼りに犯人探しをするなど穂波を救う為に奔走した。千代の治療の為に金を出し、良い病院を確保したのも椿だ。
「後悔した。もし俺が半端な想いで身を引かずに穂波さんの側にいれば。穂波さんも、侍女の千代も傷つくこともなかったかもしれない」
悔しそうに俯く椿の表情を見上げながら、穂波は首を横に振った。椿のせいではないのに、こんなにも辛そうな表情をさせてしまっている。
「だからもう、あんたのことで引くことはない。あんたがまだあの配達屋のことを忘れられないなら、正面から奪いに行く」
澄人への想いが全くなくなったわけではないが、これまでと同じ想いを抱いたり、関係を完全に元に戻すことはもう二度とできないと予感していた。
皮肉なことに元に戻らないこの状況になったからこそ、過去の澄人との記憶はより燦々と輝き、胸につっかえる。その存在を思い出すだけで、大きな穴が空いたような喪失感で気分が悪くなってくる。