序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
「あの配達屋の男性……澄人といったか。今はまだ署に拘束されている」
「そうですか……」
「気にかからないわけがないよな。ちゃんと説明しなくて悪かった」

 いえ、と穂波は首を横に振った。澄人は金に目が眩み、穂波を陥れようと都姫に加担した。都姫がわざわざ澄人を選んだのも、穂波を最も苦しめられる方法を念力で見出したからだ。

 しかし、穂波は澄人が幼い弟や妹のために金を必要としていたことも知っていた。もしかしたらそれが目的で自分に近づいて来たんじゃないかと、出会った頃は考えたこともあったぐらいだ。

 何度も話すうちにそんな疑念は晴れ、澄人が本当に自分を想ってくれているんだとわかるようにはなった。

「彼も巻き込まれた側の人間だ、藤堂都姫の策略に。穂波さんのことを大切に思っていたことは、少ししか時間を共にしていない俺でもわかる。路夜にも彼の処遇については、便宜を図ってもらえないか頼んでいるから大丈夫だ」

< 128 / 295 >

この作品をシェア

pagetop