序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
素直に感心すると共に、まるで砂嵐が沸き立つような、少しざわりとした不安な気持ちが胸をよぎった。あまり抱いたことのない感情に、穂波は戸惑った。
「いつか……いつかこんな日が来るとは思ってました」
「やっぱりその方が噂の、長年の想い人なのでしょうか!?」
「なっ……なんだその噂は」
食い気味で聞いてくる女性たちに、椿は顔を引き攣らせた。後ろに立っている花森が、おかしそうに笑っている。
「ずっと前から噂になってましたよ。椿様には心に決めた相手がいるから一族内外問わず、女性に冷たいのだろうと」
「椿様みたいな方が、浮いた話がまるでないなんておかしいと思っていたんですよ」
本当だったんだ噂ーと、女性たちは恨めしそうにため息をつくが、カラッとしていて後に引くような悪いものではない。
「まあでも、そんな可愛らしい方なら仕方がないですね」
女性たちの興味の対象は穂波へ移ったのか、物珍しそうな目をしながら近づいてきた。
「お肌つるつるじゃないですか? どうしたらこんな綺麗な色白に」
「髪も艶々だわ!」