序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

「椿さんにとって、もう一人のお母さんのような存在なんですね」
「そうだな。たくさん苦労させてきたから、いつかは大切な人の顔を見せたいとは思ってたが……時間がかかってしまった」

　穂波さんのおかげで一つ夢が叶ったと頭を撫でられ、穂波は照れて俯いた。まだ椿に触られることに慣れない。これこそ、この先慣れることなんてあるのだろうか？





「こちらが、穂波様のお部屋でございます」

　花森は持っていた穂波の荷物を、部屋の隅に置いた。穂波の部屋は、白洲家の部屋よりも二倍ぐらいの広さの、異国の様式の部屋だった。ずっと畳の部屋で暮らしてきたため、柿渋色の木のフローリングを歩くと新鮮な気持ちがした。

「素敵なお部屋……壁紙が可愛いです」

　薄緑の生地に、小さな白い花びらの模様が描かれた壁紙が、部屋全体の印象を明るくしている。

「他にも部屋はあるんだが、一番穂波さんらしいと思いここにしたんだ。大丈夫だったか？」
「はい！　私、この部屋が良いです」

　白洲家の部屋と違う点が多いからこそ、新しい生活にふさわしいとも思った。何より椿が選んでくれたことが嬉しい。