序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

「良かったですね。椿様、ずっと悩まれていたんですよ。文乃様や女中たちにも何度も相談されていて」
「花森」

　椿がぎろりと花森を睨んだ。花森は第一印象とは違い、茶目っ気の多い人間のようだ。

「隣の部屋は、書斎や物置だ。祖母様や使用人たちの部屋は下の階にある。俺の部屋は反対側にある角部屋だ」
「お困りなことがございましたら、私たちでも椿様でも、気軽にお声がけください」

　花森はそう告げると、また片付けや荷物のご相談などあれば申し付けくださいと、女中たちを連れてその場を後にしたのだった。

「持ってきた荷物を広げたり、整理もしたいだろう。ここまで来るのにも疲れたと思う」

　また一時間したら集まろうと約束し、穂波は一旦、部屋で一人になった。

　一人になると、扉がしっかり閉まっていることを確認し、部屋の隅に置かれたベッドをうずうずした気持ちを抑えながら見た。

（と、飛び込んでみたい）