序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
 穂波を見ながら綻ばせていた表情を引き締めると、椿は横に立っている花森を見上げた。

「しかし今日は、本当はこんなはずじゃなかった」
「落ち込まれてますね。会食は盛り上がっているご様子でしたが」
「氷宮の仕事に穂波さんを巻き込みたくなかった。あの人は、絶対に頑張ってしまうから」

 椿は舌打ちをし、こんなことになるなら未来視をしておけば良かったと吐き捨てた。

「わざと涼葉を穂波さんの部屋まで通しただろう?」

 花森は問いかけに対し、何のことでしょうと首を傾げる。

「お前なら玄関で涼葉を止められたはずだ。二人をわざと会わせ、こうなるよう導いた」
「そんな椿様じゃないんですから。私には未来は視えないですし、もし予測してやっているなら有能執事すぎます」
「有能だろう、お前は」

 ありがたきお言葉と、胸元に手を添えて礼をする花森の姿は一級の執事の振る舞いだが、椿の苛立ちを助長させるだけだった。

「まあ、穂波様は、もっと外の世界を知られた方が良いと思いました」

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