序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
 バケツの水を汲み替えると、次は書庫の掃除だと腕をまくる。読まなくなった本や、不要になった書類で溢れかえる書庫は、物を押し込まれることはあれど引き出されることはない。

「けほけほ……っ!」

 棚におさまらなくなって、床に散らばっている書類と、天井まで積み上げられた本には、ずっしりと埃が積もっていた。部屋に入っただけで咳き込んでしまうほどだ。かさかさと紙が揺れる音の奥で、黒い影が走っていく……鼠のようだ。

「掃除しがいがあるわね」

 だが、かえってこの汚い部屋がやる気にさせた。ぐいっと腕をまくり、穂波は目を光らせた。

「穂波様いかがですか? 私そろそろ手伝いますか……って、ひえっ!?」

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