序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
「大丈夫です。警察や、他が解決できない問題を解決するのが氷宮ですから」
「……」

 涼葉は神経質そうで怖い印象だが、その台詞を言っている姿は格好良く、穂波には思えた。

「何ぼけっと見てるの。ほら! あんたの出番なんでしょ」
「あっ、は、はい!」

 穂波はしゃきっと背筋を伸ばし、依頼人の男に向き直った。

「今から家に入らせていただき、奥様の荷物など、私物に触れさせてもらうことはできますか?」
「物に? 大丈夫ですが、何かの念力なのでしょうか?」

 氷宮に仕事を頼んでくるからには念力のことも理解しているようで、男は物分かりが早かった。

「はい。私は触れた物に纏う、過去の思念を読み取ることができます」
「記憶が読めるということですか? それはすごい……!」

 藤堂家では落ちこぼれだと揶揄されてきた力だが、念力を持っていない外部の人間たちからすれば羨望の的だ。それに藤堂家よりもきっと、氷宮の仕事の方が自分の力は活きると穂波自身も予感していた。

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