序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜

「椎菜さんの思念は、自室の外から聞こえた物音の様子を見に行った時点で消えました」
「物音……どんな音だった？」
「がたっと、物が壁や床にぶつかる時にするような音です」
「それ以外の音は？」
「聞こえませんでした」

　おかしいわと涼葉は首を横に振った。何に気づいたのだろう？

「そのたった一つの物音以外、何も聞こえなかったのなら。その物音は、どうしても鳴るしかなかった音か、意図的に鳴らされた音のどちらかだと思う」

　涼葉は穂波に、椎菜の自室に居るように告げ、家のどこかへと歩いて行ってしまった。それからしばらくすると玄関扉や障子、窓などを開け閉めする音が聞こえて来た。

　どんなにそっと動かそうとしていても、一階建てのこの規模の家では、音が筒抜けだった。

「どうだった？」
「どの音も部屋まで聞こえて来ました……」
「慎重に扉や窓を開けて、こっそり入って来た説は考えられないわね。仮にここまで音を立てず慎重に入って来たのに、最後に派手な物音を立ててしまったなら、相当ドジな犯人だわ」