序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
「穂波さん……」
「今、この先どうしたら良いか。正直詰まってしまってます。足を引っ張る可能性があることもわかってます。それでも、一度引き受けた依頼を最後までやり遂げたいのです」

 椿は思い詰めた表情で、穂波の顔を見詰めている。この先、穂波が何者かに狙われる未来を視ている手前。本当は止めたい。けれど穂波が考えて出した答えを尊重したい思いもある。

「椿も、穂波……さんも、私が悪かった」

 涼葉は斜め下を見ながら、ごにょごにょとした話し方でそう言った。あの涼葉が、突然謝罪するなんて。穂波と椿は呆気に取られた様子で涼葉を見た。

 何より、初めて穂波の名前を呼んだ。

「氷宮の仕事について何もわかってないのに、婚約者面してるあんたが気に食わなかったけど。意外と底意地もあるし、うちの仕事に適性のある念力で踏ん張るし。少し……少しだけよ。見直した」

 椿の言いつけを破って連れ出してごめんなさいと、涼葉は深々と頭を下げた。ぎこちない話し方と動作だが、彼女なりの誠意が強くこもった謝罪だった。

「穂波様。聞こえは悪いですが、これは涼葉様からの最大限の謝罪と褒め言葉なのでございます」

 私も今回の依頼を止めず申し訳ありませんでしたと、涼葉の隣に並んで、花森も深く謝罪の礼をした。

< 188 / 295 >

この作品をシェア

pagetop