序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
「俺が依頼を先導する。涼葉と花森は、穂波さんの警護を最優先とし同行しろ」
「椿……!」
「穂波さんは、絶対に俺の側から離れるな」

 さあ、ここまでの依頼の引き継ぎをしろと、椿は涼葉に指示をした。穂波たちの依頼の継続を許してくれるらしい。

「はい! 椿さん、ありがとうございます」
「礼を言われるようなことじゃない。穂波さんを守るのは、俺にとって当然のことなのだから」

 きつい表情や言葉、さすが当主と言わんばかりの厳格な雰囲気。その中でも穂波にだけ見せる椿の柔らかい様子に、依頼人は、穂波さん、あなたは一体何者なのですかと疑問符を飛ばしていたのだった。

 それから穂波と涼葉は、これまで突き止めた椎菜の行方や、盗難された巻物、二人の念力を持つ男、転移した倉庫について話した。

「その二人組の男は、藤堂家の除籍処分者だろうな」
「椿さん、知ってるんですか!?」
「ああ。二人について、時隆さんから話を聞いたことがある」

 まさか藤堂家の人間たちだったとは。除籍されているとはいえ……遠縁の人間が犯罪に関わっているのは複雑だ。

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