序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
「!?」

 走る穂波と時隆の前に、不自然なほど長い影が延びてくる。その影から、また天音が姿を現した。逃げたつもりが、あっという間に目の前で待ち伏せされている。

「時隆様は、私の念力が何かよくご存知でしょう? 私は影を自由に操れる」
「もちろん知ってるよ。本当に厄介な念力だ」
「ふふ、ありがとうございます」
「褒めたつもりじゃないんだけど」

 忌々しそうな表情で、時隆は天音を睨みつけた。

「影の世界に潜ることもできる。自分の影を自由に動かしたり、相手の影と結んで、身体を拘束することも……なんでもあれの恐ろしい力だ」
「そこまで知っていれば、ご自分が逃げられないこともわかってますよね?」

 天音は右手を自分の影にかざし、人差し指をぐいっと曲げると、出ておいでと呼びかけた。ずぶりと影から姿を現した人物に、穂波は驚いた。

「この前の、空間転移の念力者……!」

 先日倉庫で取り逃がした、椎菜を誘拐した念力者たちの一人だった。天音たちと、繋がっていたのだ。

「あの事件も、実は全部私が仕組んだものなんです。解決おめでとう、お仕事ごっこは楽しかったですか? 穂波さん」

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