序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
 空間転移の念力者が、握っていた杖を地面に突き立てる。

 耳を裂くような爆音が、地面の下から沸き立ってくる。チリンと、念力者の杖についていた金飾りの音を最後に、その場から誰も居なくなった。

「穂波様……!」

 物陰から花森は姿を現すと、穂波が消えていなくなってしまった場所へと駆け寄った。動向を窺い、穂波を助け出そうと考えていたが出遅れてしまった。

「まずいことになった……」

 花森はすぐに踵を返すと椿の元へと向かった。




「椿様!」
「花森、どうした? お前にしては珍しく取り乱して」

 会議室で路夜と話していた椿は、部屋に入ってきた花森のただならぬ様子に眉をひそめた。

「大変です、穂波様が」

 花森は周りに聞こえないよう椿に、先ほど見た光景について耳打ちした。

「? なんか問題でもあったのか」

 椿の顔色が変わったのを見て、路夜が頭の後ろで手を組みながら首を傾げる。椿は持っていた資料を机に置き、すぐに椅子から腰をあげると、

「探しに行く」

 それだけ告げ、部屋を後にしようと走り始めた。

「あ? 会議の途中だろ! どこ行くんだよ」

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