序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
「真の狙いがあるのではと勘繰り、もともと椿様が視た、時計台下で穂波様が死ぬ未来を放棄すれば……その方法で穂波様が殺される。逆に時計台下で死ぬ未来を信じここから動かなくても、穂波様は別の方法で殺される」
「ああ。未来が視える椿に対しての一番の嫌がらせだ。藤堂都姫に恨まれてるんだろ? あの女ならそう考えると俺は思うぜ」

 厄介な奴を敵に回したなと、路夜は首を横に振った。

 藤堂家との付き合いの中。路夜は何度か都姫と顔を合わせたことがあった。椿の友人である自分を利用しようと、執拗に絡んできた記憶が残っている。目的の為なら手段を問わず、強行に出る女性という印象だ。

「ですが彼女の念力は完璧ではないはず。椿様と結婚する目的も失敗しておりますから」
「そう、完璧じゃない。椿との婚約が上手くいかなかったのは、その時都姫が別の目的に集中しちまったからさ」

 路夜の言う通り、それが都姫の念力の、隙であった。

 椿との婚約の話が破談した時。穂波をどう陥れるか、都姫はそっちに注力していた。別の目的を果たそうとするあまり、他の目的に影響が出てしまった。全ての願いを、完璧に叶える神託は、さすがに得ることができないのだろう。

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