序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
「はあ、はあ……」

 ぐらぐらと視界の景色が色づいていく。現実の世界に意識が戻ってきたのだ。頭が割れるような痛みと、額からうっすら流れる冷たい汗に、椿は細く息を漏らした。

「おい、未来読み取ってこんなに疲弊してるの珍しくねえか?」
「顔色があまりよろしくないようです。大丈夫ですか、椿様」
「ああ、大丈夫だ」

 視聞きした未来が強烈な時ほど、意識が戻った時の負担が大きい。路夜と花森も椿の様子を見て、よくない未来を視たと悟ったようだ。

「今視た未来について話す」

 椿はそれから二人に、未来の路夜が残した情報について共有した。

「何考えてんだあの女たち……よりにもよって王室に手をかけるなんざ」
「いや……利点はあると思いますよ。陛下は亡くなられたのではなく、意識不明の重体だったのですよね。我々が邪魔に入ったわけでもなさそうなのに、ここまで計画しておいて失敗してることになります」
「それは鷹泉の警護が優れてたんじゃねえか?」
「確かに鷹泉の皆様は優れておりますが、神の計略を授かれる都姫様が失敗するとは思えません」

 花森の言うことには一理ある。亡くなってはいないのだ。陛下を殺すことは目的ではない。

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