序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜






「っ、……」
「目隠しを外して」

 目隠しをされていた穂波と時隆は、天音の命令する声が聞こえた後、視界を解放された。

 天音の影に潜んでいた除籍処分者が、転移念力を使った後……穂波と時隆はすぐに視界を奪われた。どこに転移したか悟られないようにしたかったのだろう。時隆は頭が切れる。何を目論んでいるか見透かされる可能性があると考えたのだ。

「影の世界へようこそ」

 周囲はどこを見渡しても黒一色。時隆と天音、念力使いの除籍処分者の姿以外、何もない。

「自分だけでなく、他者も影の世界に引き込むことができるなんて……」

 時隆の遺した序列で三位に名前のあった天音だが、誰もが異論を唱えることなくその序列を認めていた。この念力の内容を知ってしまっては納得するほかない。

「一度に複数の世界は作れないのと、現実での影が消えたら強制的に送還されてしまうのが弱点だね」

 時隆は穂波を安心させようと言ってくれたのだろう。時隆の把握している念力であるということ、この世界から出れる方法があることがわかり、穂波の気持ちを落ち着かせた。

「天音……お前は、当主の座を狙ってるんだろう」
「正確には、都姫ちゃんを当主にしてあげたい。あの子の才能は、私が支えて、咲かせてみせる」
「それなら俺をまた殺すなり、時隆を見つけたと皆の前に突き出してくれても良い。都姫を当主に指名することもできる。だから……穂波は帰してやってくれないか?」

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