序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
 それはできないわと答えたのは、天音ではなかった。

「都姫……!」

 天音の背後から歩いて来たのは、都姫だった。

「時隆さんに、本当に私を当主にしたい気持ちがあるなら、そもそも私に殺されなかったでしょう?」
「……」
「神託を受け取って気づいたの、時隆さんが生きてることに。びっくりした、まさか鷹泉に入り込むなんてね。でも時隆さんが生きてたら聞いてみたかったの……ねえ、なんで私たちに殺されたの?」

 都姫は時隆の目の前までくると、首を傾げながらそう聞いた。

「挙句、自分を殺した犯人を見つければ当主にするって……なんとしても私と天音お姉様を当主にしたくないってことよね」
「……殺されたのは、都姫に申し訳ないと思っていたから。当主選考基準をこのようにしたのは、都姫たちを守るため……当主の座は思っているよりも良いものではない。こんな物に執着するよりも別の幸せを探してほしかった」

 穂波は時隆の言葉を聞いて驚いた。都姫に対して、申し訳ないと思っていた? 二人の間に何があったのだろう。ましてや、あの時隆が自分が殺されても仕方がないと思うほどのことだ。

「っ、ははははは! 当主の座は思ってるよりも良いものじゃない、か。時隆さんは、恵まれてるからわからないんですよ。複写の念力も、才能も、一族の皆からの尊敬も、当主の座も……お父様の寵愛も、全部、全部持ってるから……!」

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