序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
十七.決着
穂波は目を瞑ると、握っている時隆の手に意識を集中させた。たまに、意図しない思念を読み取ってしまうこともあるが、経験を積むほど、読みたい過去を的確に掴めるようになってきた。
先程、都姫から聞かされた時隆の過去について想像しながら、穂波は念力を発動した。
藤堂本家の門の前で、それこそ怜と同じぐらいの年頃だろうか。まだ幼い時隆が、番傘をさしながら立っていた。学生服の上にマントを羽織っている。頬には白い綿布が貼られており、微かに血が滲んでいた。怪我をしているようだ。
『君が時隆か! 噂には聞いていた』
細い雨がさーさーと降る、この静かな昼下がりに似つかわしくない男が、門の奥から大きな下駄音を立て走ってきた。
背が高く、肩幅もがっちりとしている。着崩した着物の胸元は大きくはだけており、鍛え上げられた身体がよくわかる。羽織の裏地は花柄と、豪快で、派手な見た目をした男だった。
『あなたは……』
『藤堂八潮。来月から正式に、藤堂家の当主となる者だ』
八潮に差し出された大きな手を、時隆は恐る恐る握り返す。
『俺が、君の世話役をする。なんでも遠慮なく聞いてくれ』
『当主様がわざわざ世話役ですか?』
『うむ、君の噂はよく聞いてる。稀有なその念力で苦労をしてきたことも』
『……』
先程、都姫から聞かされた時隆の過去について想像しながら、穂波は念力を発動した。
藤堂本家の門の前で、それこそ怜と同じぐらいの年頃だろうか。まだ幼い時隆が、番傘をさしながら立っていた。学生服の上にマントを羽織っている。頬には白い綿布が貼られており、微かに血が滲んでいた。怪我をしているようだ。
『君が時隆か! 噂には聞いていた』
細い雨がさーさーと降る、この静かな昼下がりに似つかわしくない男が、門の奥から大きな下駄音を立て走ってきた。
背が高く、肩幅もがっちりとしている。着崩した着物の胸元は大きくはだけており、鍛え上げられた身体がよくわかる。羽織の裏地は花柄と、豪快で、派手な見た目をした男だった。
『あなたは……』
『藤堂八潮。来月から正式に、藤堂家の当主となる者だ』
八潮に差し出された大きな手を、時隆は恐る恐る握り返す。
『俺が、君の世話役をする。なんでも遠慮なく聞いてくれ』
『当主様がわざわざ世話役ですか?』
『うむ、君の噂はよく聞いてる。稀有なその念力で苦労をしてきたことも』
『……』