序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
 穂波の顔色がさーっと青ざめていくのを見て、椿は、自分の想像以上に彼女があの家に縛られていることに気づいた。

「悪かった。さっき会ったばかりの俺に、軽々しく言われるような話ではなかったよな」
「いえ……こんな風に言ってくださった方は、椿さんが初めてです。ありがとうございます」

 千代は、穂波はこの家の人間だと励まし、澄人は自分と幸せにならないかと誘った。二人とはまた違い、正面から今のままで良いのかと椿は問いかけてきた。

 穂波は、こんな弱気な自分を人に見せるのは久しぶりのことだと思った。

 最初こそ浮世離れした美しさを持ち、冷徹な態度をとる椿に臆していたが、不思議と心を開いていってしまう。

「穂波さん!」
「澄人」

 後ろから聞き慣れた声が、穂波の名前を呼んだ。木箱が荷積みされた自転車に乗り、配達の仕事中だった澄人は、ゆっくりとブレーキをかけ穂波の前に止まった。

「珍しいな外に出ているなんて……あれ、そちらの男性は……?」

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