先生。~ 放課後の教室 ~
先生と私の言葉が重なった。


お互い一瞬目を合わせて、ふっと笑った。


「おぉ(笑)なんかハモったけど、当たり!


ツン、できるじゃん」


「できた~」


問題、少し難しく考えすぎてた。


こんな簡単なんだ。


「じゃあ、次の問題な!」






補習は、1時間ほど続いた。


間違えていた問題や、空白にしていたところを


先生が1つ1つ丁寧に説明してくれた。


そのおかげで全てやり終えることができた。


「…終わった~!」


「ん、お疲れ様」


持っていたシャーペンを置き、少しだけ背伸びをする。


「よし、じゃあ解散にするか~」


「はーい」


津田先生はあの時と同じ、白いカゴを持つと


教室のドアへと向かう。


私も全ての荷物を片付けて先生の後ろへ続いた。





この日も、階段には私と津田先生の2人きり。


改めて先生の後ろ姿を近くで見ると、


とても大きく感じた。


大人の男性特有の、がっしりとした背中。


少し猫背なところも津田先生らしい。


あと何回、この背中が見られるだろう。


階段を降りて1階に着くと先生が立ち止まり振り返った。


「じゃあ、もう暗いから気をつけてな」


「うん、気をつける」


「復習してくるんよ?」


「はーいっ」


「さようなら」


「さよーならっ」


私は靴に履き替えて、家へと向かった。
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