先生。~ 放課後の教室 ~
途端に笑顔になる。


先生…、楽しみにしてくれてるんだなぁ。


そこへ楽譜を取りに行っていた愛結美と心優が


戻ってきた。


「はるちゃん、帰ろー!」


「分かった!!」


私は出口で待っている2人の方へ向かった。


「さようなら」


津田先生が後ろから別れの挨拶を言う。


足を止め、振り向いて笑顔で伝えた。


「さよーなら!」




バレンタイン前日の日曜日。


私は、お母さんに事前に買ってきてもらった


材料を使ってレシピを元にガトーショコラを


作り始めた。


今回作るガトーショコラは、実はおばあちゃんから


教えてもらったもので、何度か作って


私も食べたことがある。


板チョコは使用せず、代わりにミルクココアの


粉を使う。


とっても濃厚で、柔らかく、しっとりとした


チョコレートケーキ。


友達からの評判も凄くいい。


(津田先生に喜んでもらうんだ...!)


その一心で、私は黙々と作り続けた。


「・・・できたぁ」


作り始めて、約2時間30分。


ようやくガトーショコラが完成した。


問題は、味と食感なのだけれど...。


「・・・」


ひと口、味見してみる。


「美味しい!!!!」


食感もいつも通りふわふわで、味もしっとり濃厚。


私は、先生用に2個ずつ袋に詰めた。


「・・・よしっ、先生の靴箱へ届けに行こう」


一先生、喜んでくれるといいな。
< 20 / 28 >

この作品をシェア

pagetop